臨床心理士hanaのひとり妄想diary☆

総合病院勤務です。世の中の出来事を、いち臨床心理士の視点からいろいろ妄想しつつ、考えてみたいと思っています。

自殺を考えている人が身近にいたら、どうするか?

こんばんは!葉菜です。

今年の夏は台風がたくさん来て、甚大な被害を各地にもたらしましたね。

これ以上の被害拡大がないことを切に願うばかりです。

 

さて、2日ほど前にこんなニュースが発表されました。

ご覧になった方も多いと思います。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

皆さんは、これどう思いましたか?

葉菜は正直、びっくりしました!こんなにいるのか、と。

職業柄自殺を考えている人にお会いすることが多いので、普通の企業に勤めている状態でどれくらいの頻度で出会うのか…とか、ちょっとイメージが出来なくて。

30人ほどのグループに、7~8名いるってことですよね。

ネタ元のリンクも下に貼っておきますね。

http://www.nippon-foundation.or.jp/news/pr/2016/img/102/2.pdf

日本財団

 

ということで、今日は以下のテーマで書いてみようと思います。

「自殺を考える人が身近にいたら

どうするか?」

 

まず、あなたが絶対にどうにかしなくてはいけないわけではないです

正直見て見ぬふりをするのも、一つかも知れません。

よくわからないまま中途半端にアドバイスする位なら

静観しておいたほうがいいのではないか?

一理あると思います。

 

ただ、身近に自殺者または自殺未遂者を持つ方の多くは、以下の感情に悩まされる方が多いように感じます。

あの時、◯◯しておけばよかったのかな…?

そう、後悔です。

 

あの時辛そうだった…。一声でもかけてあげたらよかったのかもしれない…

そして

「どう声をかけたら、接したらいいのですか?」

という質問を受けます。

今日はその接し方をいち心理士の意見ですが書いてみます。

もし参考になれば嬉しいです。

 

 

まず、声をかけてみよう!

どう声をかけて良いかわからないから、そっとしておこう…

そう思う方とても多いと思います。

 

でもこういう時は、こんなふうに声をかけてください。

「どう声をかけたら良いかわからなかったんだけど、とにかく心配だった。大丈夫?」

 

決して特別な言葉はいらないと思います。

思った通りの言葉で伝えてください。

それが一番相手に伝わると思います。

そして時間とあなたが大丈夫な範囲で、話を聞いてあげて欲しいと思います。

 

 

死にたい、自殺を考えている…と

言い出したら?

話を聞いているあなたはとても驚くと思います。一気に心拍数が上がって、緊張してしまう方もいるでしょう。

その時は、まずこんなふうに声掛けしてみてほしいです。

「死を考えるほど、辛いんだね。」

 

自殺未遂者や自殺念慮がある方は、”死にたい”というより

死を考えるほど現状がとてもつらく苦しい。

このつらい状況をぬけ出すには、死ぬしかない。

という心情だと言われています。

 

死ななくて済むなら死にたくないんです、本当は。

でも現状を変えるには死を以って以外不可能である、という気持ちの状態なのです。

 

なので、まずはその辛い心情を理解する意味で、上の言葉をかけてみて欲しいです。

その上で、もう少し話が聞けそうなら聞いてあげてください。

 

 

最後は、専門家に委ねる流れを作る。

精神科医臨床心理士は、死を話題にした話をすることにある意味慣れています。

学術的背景を持ち、面接トレーニングを行うこともあります。

そのような気持ちを扱うことが仕事の一つだからです。

ただこれは専門家だからこそできること、だとも思います。

私自身、臨床心理学を学び臨床心理士として仕事をしてなければ、接することはとても難しかったと思います。

 

私達専門家は、「死にたい」という気持ちを一つのその方の現れとして丁寧に扱い、面接場面で取り上げていきます。面接技法は学派によって違ってくるので一概には言えませんが、直接的に話し合します。

タブー化させない

とも言えるかも知れません。

ゆっくりその話題について話ができる場を提供していくわけです。

 

なんでもそうですが、1人で抱えていると考えがあらぬ方向に行ってしまいませんか?

自殺に関しても一緒で、1人で抱えているといろいろ悪い方向に考えがちで、死ぬしかない!という思考になってしまいがちです。

そんな時に、誰かと話をすると話題に風が通る、言い換えると少し客観的に自分の状況や、やろうとしていることを見られるようになっていく、というわけです。

 

テーマは非常に重たいですが、他の話題と一緒に丁寧に、むしろ重たいテーマだからこそじっくり語り合います。

 

 

なので、身近に自殺を考える人がいたら、例えばこんなふうに声を掛けてみて欲しいです。例文です。

 

「まず、①話をしてくれてありがとう。死を考えるくらいつらい状況だったこと、知らなかった。

僕(私)でできることがあったらやりたい。だけど、死ぬことについては専門家に相談してみたらどうだろう?専門家は死にたい気持ち、死ぬことについてしっかり聞いてくれるし、一緒に考えてくれるらしいよ。

②僕(私)はあなたに生きていて欲しい。③だから自分のせいで逆にもっとつらい気持ちにさせてしまったら…と思うと、死ぬことに関して話をすることが今はちょっと怖い。それ以外で④職場の愚痴とか家庭の悩みとかは、私で良かったら一緒に考えたいと思っているよ。」

 

 

ポイントの箇所に下線を引いておきます。ポイントは4つ

①話をしてくれて、ありがとう。

→死にたい気持ちを含めた話は、話す側にも大きな勇気が必要です。勇気を出して話をしてくれたことに感謝の意を伝えてください。

②あなたに生きて欲しい。

→自殺を考える方は、かなり気分が落ちている状態です。自分なんか居ないほうがみんなが幸せになる…ということを真剣に考えています。「居て欲しい」というメッセージはシンプルですが、相手にとってはとても大きな言葉になります。

③難しいことは難しい、と伝える。

→聞き手も無理のない範囲で!というのはとても大切です。「ずっと付き合って行きたいからこそ、ちゃんとした専門家なのところに行って欲しい」というようなニュアンスをぜひ含めて欲しいです。

④出来ることも伝える。

→最後に出来ることを、関わり続ける気持ちがあることを伝えると、相手の方も安心すると思います。出来ない…だけで終わると、話し手側としては聞き逃げ?!と捉えられて傷つきが大きくなってしまうこともあるからです。

 

 

今日紹介した方法が絶対効くという保証はありません。

やはりcase by caseで実際にお話してみて、どう接するか、どんな言葉をかけるかを決めていくからです。

 

ただ、何か参考になればと思って書きました。

 

 

本日も最後までありがとうございました。

 

 

葉菜