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臨床心理士hanaのひとり妄想diary☆

総合病院勤務です。世の中の出来事を、いち臨床心理士の視点からいろいろ妄想しつつ、考えてみたいと思っています。

小林麻央さんの「病状告知」を聞いて思ったこと-がん患者が辿る心理過程について-

こんばんは!葉菜です。
昨日から今日にかけて、衝撃的なニュースが流れました。
それは、現在がん闘病中の小林麻央さんご本人が、ご自分の現在の状況をブログで発表したというものです。
読まれた方もたくさんいらっしゃると思います。
私も読みました。乳がん原発巣の骨転移と肺転移など、他臓器に転移…。

 

サラッと書いていらっしゃいましたが、とても勇気のいることだったと思います。
彼女の記述から大体のステージ、置かれている状況が推測出来てしまいます。
そういう世間の視線を十分理解されての告知ですよね。
そして、前を向き治療を続ける彼女の姿…。本当にお強いです。
本当に少しでも良くなってほしい!!

と切に願うばかりです。

 

さて、本題に入ります。
彼女のブログを見ると、辛い現状をある程度受け入れているように感じます。
この心境になるまで、本当に苦しい気持ちの動きがあったと思います。

 

がんの業界?では、がん患者さんが辿る心の変化の研究が盛んです。
今日はそれをご紹介しながら、日常の現場でがん患者さんに接して思うことも書いてみようと思います。


告知→怒り・否認・抑うつ→受容
最初のがん告知の精神的衝撃は、かなりのものだと言われています。
今は医学が進み、”すぐに”そして”死ぬ”病気ではなくなりました。
発見が早ければ完治するものもあります。
ただやはり「がん=死」というイメージを持つ方は

少なくありません。

 

死ぬのか・・・・!?という恐怖
なんで私が・・・という怒り
そんなはずはない…!という否認
絶望的な気持ちになる…抑うつ

 

告知後しばらくは、上述の感情が行ったり来たりして非常に強い混乱状態をきたすと言われています。
しかし一般的にはだいたい2週間経つと、これらの感情が落ち着いてきて治療や病気になったことで生じる問題(仕事とか家庭)に取り組めるようになると言われています。


気持ちが回復出来ないと・・・

適応障害と診断されることも!?
2週間程度時間が経過してもこれらの感情が強く残っており、治療や日常生活がうまく行えていない状態であれば、適応障害と診断されることもあります。

 

個人的にはここ、あまり納得が行っていないところです。
確かに
病気という”ストレス”に対して

時間が経過しても適応出来ない
という点で適応障害と診断がつくことは理解出来ます。


しかし生死に関わる病気を”ストレス”と

ひとくくりに考えていいのかな?と思うのです。


ストレスといっても、病気だけでなく、離婚、親の死、子離れ、会社などたくさんあって、そのストレスの強さはそれぞれ違いますよね。
実際そのストレスの強さを研究した論文もあります!
生死に関わる病気に罹患した、しかも”がん”という衝撃から2週間程度で適応できるようになるって、かなり厳しいんじゃないか・・・って思っています。
したがって「抑うつ状態」は理解できますが、「適応障害」と診断がつくのはどうなんだろう??と思ってしまうのです。
精神腫瘍科の先生がいらしたら、ごめんなさい。あくまでも個人的な意見です。


受け止めきれない方も、もちろん居ます
病気の話をしたがらない、すぐに怒り出す…などで、病気を受け止めきれない方もたくさんいます。
私は主に、こういう方々を対象にカウンセリングを行っています。

健康に気をつけていたのに、どうしてこうなってしまったのか…
娘や息子の成長を見とどける事ができないかもしれない悲しさ…
まだやり残したことがある!死ぬ訳にはいかないんだ!
癌であるはずがない!きっと何かの間違えだ!

例えばこの様なお話をされます。どれも至極まっとうなお気持ちばかりです。
病気の話を一切しない方も居ます。話題として出てもスルーです。
心理士である私は、ただ患者さんの話にひたすら耳を傾き続けます。


再発(転移)の衝撃
がん告知(初回)よりも、再発(転移)の告知のほうが患者さんにとっては辛いと言われています。
なぜなら、すでに治療をしっかり行ったうえでの結果だからです。
あれだけ頑張ったのに…
努力が徒労に終わった感じがして、絶望的な気持ちや悲壮感がどうしても出てきてしまうからです。


がんであるという現実を受け入れること
本当に簡単なことではありません。
常に気持ちの変動はあると思います。
でもすでに書いたような気持ち(怒り、否認、抑うつ等)を乗り越えて
目の前の病気に立ち向かう
出来ないことを憂うのではなく出来ることに目を向ける
ということだと思います。

小林麻央さんのブログを拝見していると、まさにこの心理状態なのだろうと感じます。


周囲が患者さんに対して出来ること
患者さんが一番嬉しいこと、それは
周囲の人間が、どういう状況でも変わらない距離感で居続けてくれること
自分の意思で物事が決められること
と言われています。

周囲の人間も、患者さん本人に接することが辛くて(見ていられなくて)足が遠のく…なんてことが結構あります。
でもそういう周囲のちょっとした変化から、患者さん本人がいろいろ感じ取るんですね。

自分の意志と言うのは、自分で食べる-人に食べさせてもらう、人の助けを借りる-自分でやってみるなど
自分で(人に助けてもらうかも含めて)決める
ということです。
他人の判断で決まるのと、自分の判断で決まるのでは全然違いますからね。

 


ひたむきにがんと戦う麻央さんの姿に、私自身大きな刺激を頂いています。
素敵なブログを本当にどうもありがとうございます。
そして、これからも一読者という形ですが、応援し続けたいと思っています。


今日も最後までありがとうございました。

葉菜