「自閉症スペクトラム症を持つ者が職場でトラブルを起こしたときに有効な対処法ー当事者と精神科医の共同研究ー」のご紹介。
こんにちは!葉菜です。
今日は最近読んだ論文の中で興味深かった論文を勝手に紹介したいと思います。
その論文とは
「自閉症スペクトラム症を持つ者が職場でトラブルを起こしたときに有効な対処法―当事者と精神科医の共同研究―」精神科治療学 第31巻 第4号 537-542,2016
というものです。
自閉症スペクトラム症(以下ASD)に関する書籍はたくさん出ていますし、精神科医をはじめとした専門家による、家族や職場の人向けの「ASDの人との付き合い方」みたいな本もたくさん出ていますよね。
しかしこれは
ASDであるご本人がトラブルに有効な対処方法を提案している論文
なのです!
前半はASD当事者による執筆、後半は前半の執筆を受けての精神科医によるコメントで構成されています。
今日は、少しまとめてこの論文を紹介したいと思います。
状況とテーマ
以下のように設定しています。
職場やアルバイト先、大学の研究室でトラブルを起こしてしまった時、その場の責任者(上司、先輩、指導教員)に対してどのようにふるまうべきか、具体的にどう謝ることが問題解決に有効か。
原則的なこと
必ず頭に入れておくべきこととして、3つ挙げています。
① 言い訳をしない。
② 申し訳ございません等の謝罪の言葉のみとする。その先を続けない。
③ 行動の理由や状況説明をしない。
以下、こんな理由を述べています。
職場をはじめとして社会のいろいろな場面では、日頃周囲から「報告を必ずしなさい」と言われる。それに従って、ASDの当事者は、問題が生じた際は状況説明をすることが求められていると認識するのに対して、周囲はその報告は「自分の非を認めない態度である」という認識をするので、認識のずれが生じる。
②に関しては、ASD当事者自身、問題行動の原因を探り解決方法が見えてくれば、同じ問題を繰り返さなくて済むのでそれをやりたいと思っている。しかし当事者がミスやトラブルを生んだ行動は、周囲にとっては当たり前にできる行動なので、その解決策を考える必要もなく、また求められても回答に困ることが多い。その結果、周囲は当事者の意図を「理解できない」ため、「問題を起こしたことについて悪いと思っていない」という誤解に至る。
どうしても反論や自己主張を通したいとき
筆者は「その場で反論は決してお勧めしない」と述べています。どうしてもしたいときは、少なくとも翌日以降に改めお話を聞いてもらう時間を設けるほうが良い、と。そしてその際に、自分なりの解決策を用意しておいてから望むのが良い、と述べています。
理由としては、解決策を自分で考えることによって、向上心があることや正当化ではないということを相手に思わせることができるから、だと述べています。
また相手に対して自分の意見が正しいということを押し付けようとか理解させようとか思うのではなく、あくまで相手の意見も自分の意見も正解であるという立場をとるようにすることがポイントである、と述べています。
さらに会話を円滑に進めるコツ☆
① 「○○してしまい、申し訳ございません」の他に、「わざわざ△△していただいてありがとうございます。」という言葉を添える。
② あくまでも教えてもらう立場であることを認識する。
③ 相手を立てる。
④ 頭ごなしに否定しない。
と、4点を挙げています。
理由としては、まず「ありがとう」という言葉は相手に対する最高の承認であって、相手をプラスの気分にすることができるから。相手の怒りをより鎮めやすくなるということがよく見られる、そうです。
ミスは自分だけではなく相手がしている場合は、自分だけ!と理不尽さを感じることもあるかもしれないが、そこは「我慢が必要」と述べています。
他には、具体例や、当事者の執筆を受けての共同著者の精神科医によるコメントが後半続きます。
いかがだったでしょうか?
私はこれを読んで、ASDの方の視点を改めて学ばせて頂きました。
ASDの当事者の方がいらっしゃったら、共感しながら学べる論文なのではないかと思います。
全文を紹介すると長文になってしまうので、短くまとめてみました!
ぜひご興味がある場合は、取り寄せて読んでみてください♪
今日も最後までありがとうございます!
葉菜