中学生の自殺についてー広島中3自殺の事件からー
こんばんは!葉菜です。
昨日、昨年12月に自殺した中学3年生の男子児童のニュースが一斉に報道されました。
誤った記録をもとに進路指導が行われ
私立高校への推薦が出来ないと親に伝わった日に彼は自殺したそうですね。
彼にとって”親に事実が伝わること”がどういうことを意味していたのか…
自殺しなければいけないほど避けたいことだったのか…?等々…
心理士としては気になるところですが。。。
とにかく非常に痛ましく、悲しい事件です。中学校の責任は非常に重たいですね。
今日はこの事件を受けて、中学生の自殺企図について考えてみたいと思います。
救命救急センターには時々、15歳前後の中学生が搬送されます。当院に搬送されてくる生徒さんの多くは進路や勉強のことで親と大喧嘩して衝動的にマンションから飛び降りたり、薬を過量服薬して救急搬送されてきます。
臨床心理士という職種上、そんな彼らと話をします。
彼らと話をしていて思うこと・・・
①口は一人前だけれど、中身は成長途中の子どもである
事実関係を非常にわかりやすく丁寧に話をしてくれる子がいます。大人の私が関心してしまうほどに。でも肝心の”自分の気持ち”の話になると、突然言葉に詰まることがあります。気持ちを問うと途端に”なんとなく”や”うまく言えない”とあいまいな言葉が増えてくることが多い気がします。これはまだ、自分の気持ちを適切な言葉で伝えていく力がしっかり身についていない、まだまだ成長過程の年代である故だと思います。
特に中学生は多感な時期で、様々な考えや感情、価値観が心の中を去来し、”疾風怒濤の時期”と表現されることもあります。そんな非常に難し時期なので、気持ちを言葉にすることの難しいさは尚更でしょう。
つい一丁前に語る姿や「うるせー!」などの暴言を聞くと、相手の大人がまだまだ成長過程であることを忘れたり本気で怒ったりしたくなりますが、表に出ている部分だけでなく隠れている裏の部分(子どもの部分)をしっかり考えながら接しなくてはいけないな…と感じています。
②周りに大人はたくさんいるのに、相談しない彼ら
あまり周囲の大人に多くを語らず、自殺未遂(既遂)する中学生が多いと思い気がしています。なので「なんであの子が?!」と強いショックを隠し切れない親御さんや先生はとても多いです。ただ一方で行動に出ている子ども側は、自殺企図をするまで追い込まれているわけで…このギャップというか温度差が気になっています。
この温度差は理由はともかく、
”相談してもいいかなと思える大人が彼らの周りにいなかった”
と言えるのではないか...と感じてしまいます。
相談しない理由はたくさんあるようです。
よく聞くのが「迷惑かけたくなかったから」という言葉。
でもこの言葉ほど、言葉通りにとっては危険な言葉はないと感じます。
話を聞いていると、相談した後のことを彼らはとても気にします。相談したことで結果的にさらに大きな問題に発展するのではないか、もっと怒られるのではないか、良くないことが起こるのではないか…それが怖くて黙って一人で悩み続けているようです。
以前「相談したら両親が自分のことで喧嘩する。そんな姿は見たくないから。」と語ってくれた子がいました。なかなか難しいな…と思った瞬間でした。
大人が子供のためにと、良かれと思って起こす行動が
時としては逆に子どもを苦しめる
これを私たち大人は、しっかり認識していなければいけないといけないですね。
いじめ、友人や異性との関係、家族との関係、そして進路の問題。
中学生の悩みは尽きませんし、自殺のきっかけとなりえる出来事はいくらでもあります。
大切なのは、彼らのその苦しい局面を乗り切るために
”自殺という究極的で最終的な手段を
選ばなくて済むようにすること”
ではないかと思います。
そのためには周りの大人は何ができるか。どういう大人であるべきか。
たくさんの大人がいる中で、子供たちから”相談してみたい”と思ってもらえる大人になるには?
疑問や課題は山積です。
私自身まだ、答えは見つかっていません。
しかし思うこと
それは繰り返しになりますがまず
①大人側が”子どものために”と勝手に考えて行動をとること
は今一度考え直すポイントだと思います。
結果的に子どものためにならないこともあるからです。
そして
②彼らの味方で居続けること
一筋縄ではいかない彼らの悩み。長期戦です。
息切れせずにじっと味方で居続ける、そんな覚悟と持久力が必要ではないかと感じています。
今日もありがとうございました☆
葉菜