臨床心理士hanaのひとり妄想diary☆

総合病院勤務です。世の中の出来事を、いち臨床心理士の視点からいろいろ妄想しつつ、考えてみたいと思っています。

「親」ほど愛おしく、でも苦しく悩ましい存在はいないと思う―「親」という大人との付き合い方を考える。

こんにちは!葉菜です。


毎日本当に暑いですね~…。
すっかりクーラーに頼りっきりの毎日です。
これから夏本番、乗り切れるか心配です…。


さて今日は親子関係、特に

「子ども側からみた親」

について書いていこうと思います。


親との関係に悩まれている方、とても多いと思います。


葉菜自身は、一緒に暮らしている時はわからなかったのですが、離れて暮らすようになってから見えてきた親子関係のストレスがありました。

 

これから夏本番を迎え、夏休みやお盆で親に久しぶりに再会する方も多いことかと思います。
今日はそんな親との関係などを書いてみようと思います。

 


親の言動に苦しむオトナになった子ども達
私は普段、成人の方を担当させていただくことが殆どですが、多くの方が親子関係で悩まされています。
主訴には親なんて全く出てこなかったのに、話を聞いていくと親との確執とか親からの暴言とか・・・親絡みのエピソードが出てくることはとても多いです。

 

心理学では子どもにとって親って「自分以外の他者すべての代表」みたいなところがあると言われています。
例えば親が他人に対してフレンドリーだと、子どもは「外の世界は楽しいから、積極的に関わっても大丈夫♪」って思いますし
逆に親が他者に対して猜疑的だったりすると、「外の世界は怖くてだまし騙されの世界なんだ。警戒しなくては!」なんて認識していくわけです。

とにかく、子ども(特に小さい頃)にとっての親の存在はとてもとても大きい!

そんな親に
「お前はバカバカでどうしようもない」
「お前は何をやっても駄目だな」
「(男性に向かって)本当は女の子が良かったのに…」
「産むんじゃなかった」

とか

「ママにとって○○(子どもの名前)だけが頼りなの!ママのこと見捨てないでね!」
「ママの言うことを聞いてくれないなら、パパと離婚する!」
「○○はパパに似て、可愛くないわね。」    等々

ちなみにこれらの言葉は、すべて患者さんから聞いた実話からの引用です。

この様な子どもを否定するor自立を妨げる言葉を投げかけられたら…
それは悩みますよね!


しかも年齢が幼い頃は、反発するということを知らず親の言うことを丸のみ状態なので

僕は(私は)ダメな子なんだ…何をしてもダメなんだ・・・

という自分に対する認知が出来上がり、抑うつ的になりやすかったり・・・
または

「私はダメな子じゃない!!」

と反発をするが、自己否定的な言葉に敏感になりすぎて、職場や友人関係でイライラしやすく人と衝突しやすくなったりするわけです。

 

言葉だけではありません。


浪費癖、不倫や愛人がいる、自殺未遂を繰り返す、アルコールに溺れる、ギャンブルなど解りやすいものから、いつも人の悪口ばかり言う、非常に自己中(共感性に乏しい)、家の掃除や家事が全く出来ない、暴力をふるう…等々

 

行動面に問題がある親を持つ子どもは
とてもしっかりした子ども
になる傾向があるように思います。

俗にいう「良い子」ですね。
言い方を変えると、「親子の立場が逆転する」とも言えるかなと思います。
親がある意味、自由奔放なので
その分子どもがしっかりして、バランスを取ろうとする…
そんなイメージです。

でも大人になると、今まで頑張ってきた分辛くなってしまって、自分も親と同じようになってしまう…という流れは少なくないと思います。

 

少し前のニュースで、元キングオブコメディーの高橋被告のお話がありました。
高校に忍び込んで制服を盗んでいたというニュースです。


彼は小学校高学年の時に自殺でお母さまを亡くしています。
またお父様は浪費癖があるそうで、3000万以上の借金があるそうです。
彼は自分で得た収入から父の借金返済をしていたようです。

今回の彼の犯罪が、彼の過去の経歴とどこまで関係があるかはわかりません。
心理士の悪いところで、過去のエピソードと今起きていることを関連づけて考えやすいところがあるので、今回もその癖が出てしまっているかも・・・と自戒した上で書きます。

もちろん、壮絶な親を持つ子どもでも、立派に成人されている方はたくさんいると思います。高橋被告のように犯罪に走る人はごく一部だと思います。

 

ただ職業柄、プライベートでも人の相談に乗ることが多い私としては、親の言動の影響で今苦しんでいる子ども世代は、とても多いように思います。

 


大切なのは距離感。
さて、肝心の親との付き合い方、です。
ここからは私見たっぷりなので、異論反論あるかと思います。

 

悩ましい存在の親と同居されている方がたくさんいます。
親が高齢になったりすると、そうせざるを得ない場合も増えてきます。

また親が自殺未遂を繰り返す、浪費癖がある…などがあると
常に監視していないといけない場合もあります。

 

子どもだからと言って、親の面倒を見なくてはいけない
こういう法律はありません。
ただ一般的には、そうなることが多いと言えますね・・・。

 

お話を聞いていると
「面倒を見る=同居する」
と捉えている方が多いように思います。

親との関係に悩みつつ、全部面倒を見ようとする姿勢です。

 

間違っている!とは思いませんし、もしできるのであれば良いと思います。
むしろこういう決断をされる方は、本当に尊敬します。
一方で、一つ気がかり、心配事が私にはあります。

それは
「あなたの大切にしたい時間は守れますか?」
ということ。

 

同居することで、すべての時間を親に取られてしまっては、心が疲弊してしまいます。
そもそも親と子どもの人生はそれぞれにあるので、それぞれの人生を楽しむ権利があります。

机上の空論かもしれませんが…


親の面倒を見つつ、自分自身も大切にしてほしいと思います。
例えば自分の時間を確保するため、親を外部の機関に預けることは、私は賛成です。
あまりに子ども側が我慢し過ぎてしまうと、とんでもない形で大爆発を起こしかねません。
事件や犯罪になってしまう可能性もあります。

お互いに無理のない関係を続けるために、別々に暮らすという方法もありだと思います。

 

そして一人で悩まず、誰かに話をしてほしいと思います。
誰かに話をすることで少し気持ちが軽くなりますし、また捉え方・見方が変わることで負担が減る可能性もあると思います。


今日も最後までありがとうございました。
毎日暑いので、くれぐれもご自愛くださいませ。

葉菜♪