災害:お子様がいるご両親へー子どもへの接し方ー
こんにちは。臨床心理士 葉菜です。
今日は
「災害:お子様がいるご両親へーお子様への接し方ー」
をテーマに書かせて頂きます。
既に被災地には、災害派遣チームが派遣されています。
現地で直接アドバイスを受けた方・受けられそうな方は、現場でのアドバイスを優先させてください。
その場その場の状況に合った対応があります。
ここでは一般的な心のケアの知識に加えて一心理士として個人的な見解を付け加え、書かせて頂きます。
すでにお子様に何らかの“変化”が出てきている場合
昨日のyahoo!ニュースにも載っていました。上にリンクを貼りましたが、ニュースのようにお子様に“変化”が出ているご家庭もあると思います。
とても大きな地震でしたので、お風呂が怖くなったり、自宅が怖くて帰ることが出来ない、という心情・行動はとても自然な感情であると言えます。
これらの様子から
に近い状態になっていると言えるかもしれません。
☆急性ストレス障害の主な症状は、次のようなものになります。
ア 持続的な再体験症状
体験した出来事を繰り返し思い出し、悪夢を見る。
体験した出来事が目の前で起きているかのように生々しい感覚が甦る
(フラッシュバック等)
イ 体験を連想させるものからの回避症状
体験した出来事と関連するような話題を避けようとする
体験した出来事を思い出させないなど、記憶や意識が障害される(ボーっとする等)
人や物への関心が薄らぎ、周囲と疎遠になる 等
ウ 感情や緊張が高まる覚せい亢進症状
よく眠れない、イライラする、怒りっぽくなる、落ち着かない、集中できない
極端な警戒心を持つ、些細なことや小さなもの音で驚く 等
このような「再体験」「回避症状」「覚せい亢進症状」がストレス体験の4週間以内に現れ、2日以上かつ4週間以上の範囲で症状が持続した場合、急性ストレス障害となります。
また心的外傷後ストレス障害(PTSD)についても書きます。
☆心的外傷後ストレス障害とは?
災害や事件・事故後に急性ストレス障害のような強いストレス症状が現れ、それが4週間以上持続した場合に診断されるものです。
これらの症状は災害や事件・事故後からしばらく経ってから出現する場合があることも注意が必要です。
4週間以上続いたら、心的外傷後ストレス障害(PTSD)になるということです。
対応方法
まず上述の状態にお子様が近いと判断された場合は、児童精神科医などの専門医の受診が必要になります。近くにいる医療スタッフにぜひ相談してください。
子どもへの接し方
それ以外で、診断名が付くほどではないけれど・・・という場合もたくさんあると思います。以下、子どもへの接し方を以下に書いていきます。
ただ心配な時はすぐに周囲の医療者に相談してほしいです。
①出来る限り普段と変わらない接し方を基本とし、優しく穏やかな声掛けをしていく
→安心感に繋がっていきます。
②ストレスを受けた時に症状が現れるのは自然なことであること、症状は必ず和らいでいくことを本人に伝える。
また一人で悩んで孤独感を持たないようにするために、怖いなどの気持ちの話を周囲にしていくように伝える。
→話の中にはバカバカしいと思うこともあるかもしれませんが、子どもにとっては大切なのでそのまま聞いてあげてください。難しい場合は理由を伝えて待ってほしい旨をぜひ伝えてください。
③一時的に子ども返り(幼児のように母親にべったり甘える等)が生じやすいが、無理に制止することなくそのまま受け入れる。
→不安が強くなっているので、親のそばに行くことで安心感を補充しようとしていると考えられます。
④出来る限り生活にリズムを作り、そのリズムを崩さないようにする。
→生活が乱れると気持ちも乱れやすくなります。こういう非常時だからこそ生活を意識的に整えていくことはとても大切なことです。
ここまでの情報は以下のサイトを引用・参考にさせて頂いております。
http://saigai-kokoro.ncnp.go.jp/index.html
災害時 こころの情報支援センター
http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1297484.htm
文部科学省 子どもの心のケアのために
ご両親自身も、ご自分を大切にしてほしいです。
以上、いろいろ書かせていただきました。
お子様の心のケアは、どうしてもご両親をはじめとしたご家族の力が必要になります。子ども以外の、例えばご両親だって誰かにケアしてもらいたい…、話を聞いてもらいたい…そう思われる方はとても多いのではないでしょうか。
とても自然なお気持ちだと思います。
以前にも書きましたが、
「誰かのケアをするためには、誰かに自分のケアをしてもらう必要がある」
私はそう考えます。
ケアしてくれる人が見つからないこともあると思います。
そういう時は、
自分のことを自分でたくさん褒めてあげてほしいです。
何が一番つらかったか、苦しかったか、悩んだか、悲しかったか…
一番わかっているは自分自身だからです。
周りはあなたの表情や態度で判断しますので、仮にあなたが本当に辛くてもあえて元気いっぱいに過ごしていたら、周りからは”元気だな”と思われてしまいがちです。
それは長年連れ添った夫婦にだって言えるのではないでしょうか。
近くにいても、伝わらないことは伝わらないものです。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
また書かせていただきます。
葉菜